MRI

午後はMRIにかりだされた。たまにお声がかかり、鎮静をしに行く。
常識であるが、MRIは巨大な磁石なので、金属を持っては入れない。体の中に金属製の医療器具が入っている人も入れない。
MRIでは不思議な現象が起こる。MRI検査を受けたことのある方はお分かりになるかもしれないが、ものすごい騒音なのになぜか眠くなるのである。ちなみに、MRIのあの音は技術が進んでも消せないらしいぞ。
ああ今日もうるさい。耳栓を棚からとりだした。患者さんは落ち着いている。MRIは単調なリズムの轟音。今日も急激に眠くなる。
学生時代の講義のあいまいな記憶しかないが、磁気で電子にスピンをかけて整列させるのだ。たぶん。そしたらスピンの関係で、脳波が単調になるのかも。うんそうかも。それで眠くなるのだ。きっと。麻酔に応用できるかもしれない。
等とくだらないことを考えてもどんどん眠くなる。いかん寝てはいけない。
全ては落ち着いている。いかん眠い。
そういえばこの前のアレ、ブログに書いたらいいかも。うんすごくいい。必死で思考をつなぐ。でへへ、文はこんな風かな。すでに気持ちよく朦朧としかけている。きっとニヤけていたことだろう。唐突に我に返る。何を書こうとしていたのか、すでに思い出せない。半分寝ていたみたいだ。
・・・もうすこし後屈させておいた方がいいかな。ふとそう思って、立ち上がって伸びをし、機械(の中の患者さん)に近づいた。
急に首が締めつけられた。ぐえー。なんだ!?
外し忘れて首に引っ掛けていたディスポのマスクの、鼻あて部分が、MRIに向かってびーんと空中に突っ張っている。あ、ここに少しだが金属が入ってるじゃん! 機械から離れてマスクを捨てた。あー、目が覚めた。