読んだ

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
昨日の朝、大泣きしながら読み終えた。良い本です。
「こんな稚拙な本がベストセラーになるとは嘆かわしい」という感想をネットで見たけど、私はそうは思わなかった。
昔、正岡子規について色々読んで思ったことを思い出した。新俳句運動とか写生主義とか書くとわかりにくくなるけど、彼の言いたかった事は、「どんな表現でも、良いものは良いんだよ、むずかしくする必要はないんだよ」ということだと思う。
わかりきったことだけど、表現が難解か、平易かは、作品の良し悪しに関係ない。良し悪しを判断するのは、作品の本質に触れた自分の心だ。
それで、これだけたくさんの人の心を動かすこの本は、やっぱりすごいんだろうなと思う。
私の好きな部分は、主人公が風疹になって高熱にうなされ、母親に電話すると、次の日、母がいつのまにか九州から上京していて、リンゴをすりおろしているくだり。目が覚めて母親を見つけた時の安心感の描写が、すごく好き。私も働き始めてから同じように高熱で母に来てもらったことを思い出した。