永遠でないということ

さいころ、「人はなぜ死ぬんだろう? 家族や自分もそのうち死んじゃうなんて嫌だ」と考えることがあり、悲しくて悲しくて布団の中で泣いたりしてた。
あるていど大人になってからは、「死ぬのはとめられないけど、生まれてくるのもとめられない」という言葉を荘子で読んで、ああこれが私が求めていた答えだ!と思った。
医師になってしばらく、自分がしていることを「死に立ち向かうすばらしいことだ!」と思ったが、しばらくすると、どうにもならない時はならないものだということが良くわかって、むなしさを感じたり。
 
年齢と立場によって少しずつ死に対する考え方が変わってくる。高校生のころ、心筋梗塞で倒れた年配の先生が、「若いころは死ぬのは嫌だと思ってたんだけど、不思議と今はそう思わないんだよ」と話していて、年をとるとそんなものか?と信じられない感じがしたが、もちろんそういう人もいるのだろう。
 
最近また考えが変わった。新しい命が私の中にいる。チビだけど確実に生きている。すごいことだ。命は永遠じゃないけど、人はこうして限りなく長い時間、命を伝えてきたんだなあ。

まだ初期なので「おかあさんになります」とかは言える段階じゃない。それに、ふだん危険な妊娠やお産・病気の子供ばかり見てるのでどうしても悲観的になるのだけれど(職業病)、たとえ途中でだめになったって、とりあえず今存在していることは確かだ。すごいことだ。無事に生まれればとてつもなく素晴らしいことだ。
それに「私一人ではなく、オットと育てる子供なのだ」と思うと、不思議と安心感と勇気が湧いてくる。

もちろんこのまま渡米します。なるようにしかならん!と思ってます。
こう思えるようになるまではずっとプチうつ状態で、色々もんもんと考え込んでいたのですが・・。(以前は妊娠したら無条件に嬉しいもんだと思ってた)
つわりはたぶん今最高潮な時期ですが、食べられないほどではありません。ありがたいことです。