産婦人科・小児科

小児科の先生が書いているブログを読んで、昨日の出来事を思い出した。
http://d.hatena.ne.jp/hibigen/20060204/p2
昨日のローテーターの歓迎会で、2年目の男の子が立ち上がって自己紹介し、「小児科にフィックスする事を決めています。麻酔科では気道管理を学びたい」と話した。
「小児科かぁ」となんとなく感心してしまう。小児科を選ぶ若い医者はやはり非常にモチベーションが高いし有能な人が多いから。
私は小児科へ進む人を無条件に尊敬してしまう癖がある。激務・人手不足・患者や親との付き合いの難しさなど、はたから見ていてもとても大変そうなのに、割とコミュニケーション上手で、疲れたり落ち込んでいても同僚や患者に対しての態度が変わらないので。
私の隣に座っていた上司の奥様は小児科医である。先天性心疾患を専門とする非常に優秀で面倒見のいい先生で、色々と教えてもらう機会も多く、とても尊敬している。少し冗談めかして、「先生の奥様のように立派な小児科医になるといいですね」というと、その上司はとても複雑な顔をした。
「うちのは立派でもなんでもないよ」という。「え?なんでですか?あんなに優秀で一生懸命じゃないですか」というと、「それは違う」という。
「うちの妻のように身を粉にしてぼろ雑巾のようになるまで働いちゃだめだ。それが美徳のように働いている。あんな生き方長く続かない。後に続く医者もそのうちいなくなる。ただがむしゃらに働いて、待遇改善の要求も何もしない。激務なんだから、給料が多いか、休みが取れるかしないと続かないだろう。後輩のために少しでも働きやすくしてやるのが俺達の仕事なのに、あいつはそれをしない」
「うちは去年から思い切って当直明けを休みにしただろう?もちろんその分他の人間が大変になったわけだけど、それはそれでとても魅力的な制度だ。今回7人も新入医局員が入る事になったのには、その制度も少し貢献していると思うよ」
「ものすごく良く働くスター選手だけを育てる制度じゃだめなんだ。スターがつぶれたらおわりだ。皆が同じくらいに、楽しく働ける制度を作らないと」
待遇改善の交渉をする暇も気力もないんじゃないだろうか・・。まあ、彼はある意味その奥さんにもっともほったらかされてる人間なので、評価が厳しくなってしまうのだろう。真実を突いているが、少し酷な発言だと思った。
また、麻酔科はかなり自分達の疲労に敏感な気がする。疲れると明らかにミスが増えるし、自分で息をしていない患者を相手にしているので、ミスが死に直結するから。そういう雰囲気で、かつ現在は同僚がたくさんいる病院で働いているのは恵まれているなあと思った。