そういえば

先週の手術で、もう全然出血が止まらなくて、結局合計50人分くらいの輸血を使い切った。血小板は県内のが無くなって県外から取り寄せた。結局は無事に終わったんだけど、輸血を請求するたびに悩む。こんなに頼んで照射して、使わなかったら献血してくれた人に申し訳ない。だけど後何ccくらい出血するのか、予想するのは難しい。頼んですぐ来るものでもなし、ある程度予測して請求する事になる。準備量と輸血量に大きな差が出ないよう、かつ「輸血が間に合わなくて死亡」という事態にならないよう、神経を使う。
かといってじっくり考える時間はない。次々に輸血を準備し、ポンピングし、モニターやエコーを見つつ昇圧剤を調整し、ローテーターに指示して伝票を書かせ、血液検査に走らせ、電解質や血糖を調整する薬を入れ、つまった痰を取り除き、つぶれている肺を膨らませ、人工呼吸器の設定を調整し、かつ患者を眠らせ鎮痛する。一般人の皆さん、麻酔科の仕事は眠らせるだけじゃないんですよホント。看護師さんに麻酔やらせようっていう動きがあるようですが、それでもいいですか?
話がそれてしまったが、「貴重な血液をこんなに使っていいのか」っていう思いがいつもある。慢性的に不足しているし、「県内にはもう無い」っていう事態もそれほど珍しい事ではない。何かあったときにあとから「もっと輸血を準備すべきだった」って言うのは簡単だけど、そう言う方はきっと定期的に献血に通われているすばらしいお方なのだろうね。
いかん本当に寝よう。あしたは当直です。