ケ・セラ・セラ

硬膜外麻酔をしようと、横向きにした患者さんの背中に局麻の針を刺そうとした時、部屋においてあったCDプレイヤーから
ケセラセラ〜」と歌が聞こえてきた。
身構えていた患者さんの背中からふっと力が抜け、「ケセラセラか・・・」と笑い出してしまった。突然こんな病気になって手術を受ける羽目になって、こんなとこで痛い注射を受けようとしている、そんな理不尽さに対する怒りと緊張が解けたのだろうか。
硬膜外が終わって仰向けになり、「これから全身麻酔ですよ」と言うと、「不思議ですなあ、心が静かなのですよ。緊張はしていません。よろしくお願いします」と穏やかにおっしゃった。
音楽って不思議だなあ。

私は寝かせる時に必ず、「ではこれから眠くなりますが、手術が終わったら起こしますよ」といいます。大丈夫、手術は安全に終わって必ず意識は元に戻りますよというメッセージだ。患者さんへと、「必ず元に戻すぞ」という自分への再確認だ。

そんなこんなで今日も無事にお帰しすることができました。
新しい病院なので、まだまだ緊張の連続です。