驚いた?

あせったり怒ったりすると声が低くなる癖がある。今日は手術中に突然患者さんが心停止になり、あせった私は低い声で次々と指示を出していた。
心拍が戻った後、外科のドクターに「冷静でしたねえ」と感心されたが、その時には全身にじっとりと冷汗をかいていた。声が低いのでそう見えるだけです。

そういえば以前、LiSAにこんな記事があったっけ。

手術室では、びっくりしたときに「わっ!」「きゃっ!」などと叫ばないこと。「ぽよ〜ん!」などと言う癖をつけたほうが良い。

読んだ時には笑ったけど、何か事件があった時に、自分や周囲の人をパニックに陥らせないのは大事なことだ。 
研修医の頃、初めて乳児の喉頭痙攣を経験した時の事。プラスチックのキューピー人形のように、人間とは思えないほど硬く、色はどんどん真っ黒になっていく。上司にマスク換気を取り上げられ、がたがた震えながら筋弛緩薬を溶いた。
たまたま外国のベテランの先生が見学に来ているときで、その後に「怖かったか?」と聞かれたので、「怖かった。どうしていいかわからなかった」と正直に答えると、彼女はこう言った。
「どんなにベテランになっても、そういう時は怖くてたまらない。だけど、その時は自分にこう言うのよ。Don't panic. Do fast.」
恐怖心やプレッシャーはいつまでたってもなくならない。簡単に克服するすべもない。思考停止してパニックに陥るのはたやすい。あせりながらもとにかく前に進む。怖がるな、勇気を出して!と自分を励ます。