おかしみ

今日、なんとなく思い出した、何年も前のこと。
まだペーペーころ、初めて救急病院に勤務した私は、慣れない救急と続く徹夜に疲労困憊していました。
ある日、疲れのあまりICUの椅子に座ってぼーっと患者さんを眺めていました。
隣のベッドでは他科のドクターが、経鼻挿管しようと苦戦しています。ああ、苦しがってるなぁ、もうちょっと鎮静すればいいのに・・・などとうつろに思いつつ遠目に見ていました。
そのドクターは、「がんばって!もう少しだから!」と患者さんを励ましながらがんばっていましたが、しばらくしてやっと、「おっ!!入った! ○○さん、もう大丈夫ですよ!」という声。すると、

「ああぁ〜、良かった〜」 と患者さんの安堵の声。
・・・・・
周囲が凍りつく数秒間、そのドクターは顔をあげ、私に向かってきっぱりと「麻酔科の先生、お願いします!」

すみません、医療関係者にしかわからないネタなのですが、数年を経てもしみじみとあの絶妙の間と可笑しみがよみがえってきます。不謹慎かもしれませんが。
あの頃のどうしようもない疲労感、緊張感、焦燥感、あせり、眠気・・ 極限状態だからこそ、そういうエピソードが異常に面白く感じたのかもしれません。そこでの勤務は、「大変だったけど、楽しかったなあ」と思える貴重な経験でした。