安定した生活

先日妹夫婦が家を建てた。
私たちが渡米してからの完成だったので、実際に見に行けるのは留学が終わってからになってしまうのだけれど、写真を見せてもらったり、本人や両親の話を聞いているととても良い家のようだ。建てている間も、設計図を見せてくれたりしてとっても楽しそうだったなあ。
休日には家の草むしりをしたり、ホームベーカリーでパンを焼いたり、穏やかで地に足の着いた生活を始めたようで、憧れてしまう。

オットと結婚した時からちらほらと留学話はあったので、そもそも大きな買い物はほとんどしていない。新居のアパートにお互いの独身時代の家具や家電を寄せ集めて生活していた。冷蔵庫なんか小さいのが2台稼動していたし(笑)
それもほとんど処分して渡米して、こちらでは家具や食器、車に至るまで先に留学していた先輩方のものを譲っていただいて、家電は据付けのもの。最近出産準備のために買い物が多くなっているけど、2年後に処分するか、持ち帰れることを前提に選んでしまう。

そもそも帰国しても安定した生活が待っている訳でもなく、転勤も多いし、自分達で新天地に行きたくなることもあるだろうし、そもそもこの情勢でずっと医者できるのかもわからないし、生活の拠点を定めるのは当分先になるんだろうな。自分達が根無し草のような気がして、異国にいることもあって少し寂しくなる。

と書きながらも、月並みな言い方だけど後悔はしていない。異国で苦労したり、楽しんだり、これはやってみないとわからなかった面白さだと思う。なんというか、広い海の上でオットと船に乗ってどこかを目指しているような感じがする。(実際にはすごーく色んな人のお世話になっているので、そんなかっこいいものではないんだけど)
こちらで出産するのもベビにとって良いことなのか悪いことなのかまだわからないけど、外国で一患者になるということは医師として貴重な経験だと思うし、とりあえず今自分とベビにできるベストのことをしようと思う。

といっても他の人に「留学超いいよ〜 絶対したほうがいいよ〜」と言うつもりはないし、「赤ちゃんなんて海外でも産めるって!」とお勧めする気持ちはさらさらない。
自分の人生の選択をあまり後悔したくはないし、それは他の人も同じだと思うので、それぞれの人生を尊重する気持ちがあれば良いのではないかと思う。
でも人って基本的に選択に迷いが生じるし、選んだことに関しては「これで良かったのだ!」って思いたくなるから、歳をとるとどんどん「自分が正しかった!」と頑固になっちゃうんだろうけど。自分はなるべく柔軟なままでいたいなと思う。