デジタルカメラ

「明日、写真係やってくれない?」
上司から突然渡された職場のデジタルカメラ。一眼レフ、妙に多機能、スイッチは人間工学を無視した10個以上。一昔前の高機能モデルだ。
あうー!わからないよう! とりあえず同僚を捕まえて、一緒にそのカメラと格闘し始めた。使い方に詳しい人は皆無。なんでこんなの買ったんだ? と思いつつ説明書を読み始めた。
「このスイッチを押しながら、こっちをスクロールするらしい」まったく動かない。「今は何とかモードというやつで、そのため設定が一切変えられない」その何とかモードをなんとか解除する。「被写体を狙ってシャッターを半押しにしてピントをあわせつつ、同時に左手の薬指でレンズ横のロックボタンを押してピントをホールド」というウルトラC級の技まで飛び出す始末。もうちょっと使いやすさを考えて作ってくださいね。
「よし、じゃあ試しに何枚か撮ってみよう」とその辺にいる人をバチバチ撮りだした。しかし私が取るとどうも全部ブレてしまう。カメラが非常に重いため、ホールドしきれてないのだろう。困った。
ここでこのあいだ相方に教わったばかりの知識を突如思い出し、同僚にカメラを渡して、「なんかブレるからとりあえずISOを下げて」と頼んだ。「ISO? わかった」と受け取る同僚。しかし突如周囲がどよめいた。
「ISO! なにそれ! すごい!」「くわしーい!」
そして私達は瞬く間に「デジカメ通」という称号をいただいた。明日の写真、大事な行事の記念写真なのだが、ひじょーに不安である。