偉いのに

医局の流し場には、いつも大量のコップが放置してある。みんなお茶を飲みっぱなしだから。秘書さんが、暇を見つけてはこまめに洗って乾かしておいてくれる。

土日は秘書さんが休みなので、どんどんコップが積みあがっていく。芸術的だ。
しかし、当直の時などにふと覗くと、コップの山が消えている事がある。秘書さんが休日出勤しているのだろうか?いやいやそんなわけはないなあ。

この間手術中にその話になって、実は土日にコップを洗っているのが心臓外科のえらーい先生だということが判明した。潔癖症なので、コップの山を見るとがまんできないらしい。
目撃した外科の先生によると、一心不乱にコップを洗っていて、自分は年下なのに申し訳ないなあと非常に気まずく感じるそうだ。
カルテも良く拝見するが、芸術的に美しく、過不足なく必要な情報が記載されている。尊敬の念を新たにしたが、一心不乱にコップを洗う姿を想像して、おかしみを禁じえなかった。申し訳ないなあ。今度から私もあらおう〜っと。