ベト7

のだめカンタービレ」で有名になったというベートーヴェン交響曲7番を聴き帰そうと思い、棚をひっくり返して学生時代に購入したCDを見つけ出した。手に取ったとたん、購入した時の記憶が鮮やかによみがえった。
しょっちゅう安いCDを探しに行った石丸電気。どのへんにどの作曲家のCDがあるか、あのころは大体記憶していた。ベト7はどこかのオケの練習の代奏を頼まれ、あわてて音源を捜しに行ったのだっけ。ベト7は5〜6枚黄色い手作りのケースのが並んでいて、次々と手に取った中で帯が一番面白いのを選んだのだった。
ショルティ&シカゴ響のそれは、まず帯の文字が短くて大きかった。
世界最速!!(何分何秒)という帯の上で、ショルティがくりくりした目でいたずらっぽく微笑んでいた。
一人なのに思わず吹き出しそうになるのをこらえてレジに持っていった。ショルティのCDを買ったのはそれが初めてだった。

「速くても別に意味ないだろー」と思ったけど、実際に練習に行って吹いてみて、あの付点八分音符のリズムが難しくて吹けない。私は割りと譜読みが速くて指も回るほうだったのだが、ベト7は音符は追えて指も舌も回っているんだけど、なんだか自分が全然ちがう曲を吹いているような違和感が最後まで消えなかった。
ベートーヴェンだからオーケストレーションが良く、自分の音は前に突き抜けて行ってしまうので、とても恥ずかしかった。ああ代奏でよかった、本乗りだったらかなり苦労しただろうなあと冷や汗をかいた記憶がある。
だからベト7に関しては、リズムを正確に取れて、かつテンポが速いというのはすごいことだと思う。そのCDの演奏もとても良かった。

のだめと言えばブラームスの1番もラフマニノフのピアノ協奏曲2番も、もともとすごく好きな曲なんだけど、肝心の演奏があまり良くないのが残念だった。(うげー、都響がやってるらしい、ゴメンナサイ…)
だけど黒木君のオーボエ協奏曲は丁寧で艶があって良かったなあ。あれは誰が吹いているのだろう?