妊婦たらいまわし流産報道

またそういう報道? 日本に帰ってまた医者をやる気持ちがどんどん失せてくる。
もう気力が無いので記事の引用もトラックバックもしない。アメリカにいる間はすべて忘れたい。このまま臨床に関係なく生きていくことになっても、むしろその方がいいと思う。
一番かわいそうなのは7ヶ月で亡くなった胎児だ。記者達が偉そうに主張するように、救急搬送システムに穴があったのは確かだが、なぜこんなにもぼろぼろになってしまったのか? 1年前の大淀病院の事件以降、マスコミは事態を悪化させこそすれ、なんら地域に貢献していない。どの道救命は不可能な気の毒な妊婦さんだったのに、センセーショナルに煽るだけ煽ってその地域の産科を閉鎖させたのは誰なのだろう? なのに「1年前の教訓が生かされていない」などとどの口で偉そうに。そんな仕事で生活の糧を得るとは。プロとして恥を知れ。
妊婦さんにもいいたい。子供は自分の所有物ではない。そもそも二人で作るものであるし、自分の両親を含め、祖先から連綿と続いてきた命でもある。将来の社会の構成員として大事に預かり育てるものである。どんな事情があるのか知らないが、妊娠を自覚していながら、7ヶ月に至るまで医療機関も受診せず、胎児に対して何のケアも受けさせないというのは思い違いもはなはだしい。
このまま飛び込み出産でもするつもりだったのだろうか?飛び込み出産とは、きちんと自費で健診を受け、妊娠を管理してきた普通の妊婦さんを押しのけて、産婦人科・小児科・麻酔科・看護など必要以上のスタッフを独占する行為である。もちろんその間他の妊婦さんのケアは出来なくなる。飛び込み出産に多い費用の踏み倒しにより病院経営が圧迫され、将来的には他の妊婦さんの分娩費用にも影響するだろう。
今回のケースのように、「かかりつけ医のない妊婦さんの救急搬送には対応できなかった」所まで、医療崩壊は来てしまっているわけで、もうかかりつけ医もない妊婦さんのこと考えてる余裕は実質的には無いの。「じゃあ旅行中に具合が悪くなっちゃったらどうするの?」という主張も某新聞に書いてあったけど、普通の妊婦は旅行自体にかなり神経質になるし、医師に相談してから出かけるのが普通。
ちなみに某県立医大にベッドがあった!と鬼の首を取ったように記事を書いているけど、ベッドが空いていても、医者が対応できなければ何もできないぞ。病院のベッドに寝さえすれば病気が治るならともかく。
怒りが収まらない。乱文失礼しました。