アンドレ・ワッツ

アンドレ・ワッツのコンサートに行ってきた。
プログラムはかなり変更されていて、スカルラッティモーツァルトシューベルト、休憩、ドビュッシー〜リスト〜ショパン 各数曲ずつという並び。
かなり人気があるらしく、先行予約でチケットが出てしまったらしい。会員でもないので、一般販売開始直後に(空き時間ができるよう、実験を調節して)Ticketmasterから申し込んだのだけど、最後列の席しか取れなかった。小さなホールなのでまあいいかと思っていたのだけど、入り口で係員に席を尋ねると、「その席は録音機材を置くことになって使えなくなっちゃったの」と言われ、ええ〜っと呆然としていると、いたずらっぽくウインクして、小声で「もっと良い席を用意しておきましたよ」と、かなりピアノに近い席のチケットをくれた。うわー、サンキュー、とお礼を言って着席。こんなこともあるんだなあ。

ピアノは、正確無比と言うわけでなくミスタッチもあるんだけど、とにかくものすごく音色の綺麗な、聴かせる演奏をする人。スカルラッティピアニッシモにまずうっとり、モーツァルトはこんなに歌いこんでいいの?という面白い演奏、シューベルトはまるでジャズピアノのようで、観客が大喜び。
後半のドビュッシー・リストを終えて最後のショパン、バラード1番がものすごかった。これは戦場のピアニストで、主人公が廃墟でドイツ人将校に見つかったときに弾いた曲だった気がします。入魂の演奏…というか実際声を出して歌っちゃってるし、足は踏み鳴らすし、椅子から落っこちるんじゃないかと思うくらいのすごい迫力で、最終音の余韻が消えないうちから歓声と拍手が起こり、鳴り止みませんでした。
音楽って楽しいよね!と全身で表現しているような演奏会で、なぜ人気があるのかわかったような気がしました。